焚火、描写の妙
2008.07.16 Wednesday 21:18
その光景が、あたかも眼前に起こっているかのような文章を書くのは
どうでしょうか、なかなか難しいのではと思います。

私が、こんな文章が書けたら! と感銘を受けた作品があります。
志賀直哉『焚火』です。
これは気心の知れた者同士、湖で焚火を囲み、
その内の一人の経験した、不思議な、温かい話に耳を傾ける、という
筋なのですが、作品最後の方で、家に帰る際のワンシーンは、こうなっています。

Kさんは勢いよく燃え残りの薪を湖水へ遠く抛った。
薪は赤い火の粉を散らしながら飛んで行った。
それが、水に映って、水の中でも赤い火の粉を散らした薪が飛んで行く。
上と下と、同じ弧を描いて水面で結びつくと同時に、
ジュッと消えてしまう。そしてあたりが暗くなる。


まさに、自分もその場で飛んでいく薪と水面に映る薪の
両方を見ているかのような気分にさせられます。
こういう文章は、書けるようで(少なくとも私には)書けません。
キャンパスに筆を運ぶかのような仕事だと、私は感じています。
志賀直哉らしい、簡潔な筆の運びなのがなおさら
プラスに働いているでしょうね。

おそらく、私が今まで読んだものの中では、
志賀直哉『焚火』のこの一節が一番上手く情景描写を
しているものだと思っています。
| 希悠 | 本・作品 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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2017.03.20 Monday 21:18
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